あらすじ

無名の絵描きである語り手は、好きなキャラクターの二次創作を描き、SNSに投稿し続けていた。 描くことは楽しい。けれど、反応はほとんどなく、否定も肯定もされない「無風」の状態だけが、静かに心を削っていく。 ある夜、ふと心に浮かんだ願い。 ――もっと、私の絵を見てほしい。 翌朝、iPadのホーム画面に現れた正体不明のアプリは、その願いを問いかけるように語りかける。 選択肢は【はい】か【いいえ】だけ。 語り手が【はい】を選んだ瞬間から、世界は変わり始めた。 線は迷わず、構図は決まり、描いた絵は次々と拡散される。 万単位の評価、増え続けるフォロワー。 彼女の絵は、確かに「見られる」ものになった。 だがその代償として、彼女は気づいていく。 流行や最適解は分かるのに、 自分が本当に好きだったはずのものが描けなくなっていることに。 見られるために描く。 伸びるから描く。 期待されるから描く。 願いは完璧に叶えられているのに、 描くほどに「自分」が薄れていく。 それでも彼女は描き続ける。 なぜならもう、 「見られない自分」には戻れないから。 これは、承認と創作の狭間で、 願いを叶えられた絵描きが、自分自身を失っていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/01/17
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