あらすじ
裁判台の上で、彼女は美しく笑った。
漆黒の髪は雑に切り落とされ、赤い瞳は宝石のまま。
国中から向けられた罵声の中で、悪役令嬢ロゼリア・ルビアはゆっくりと頭を下げた。
『罪状、国外追放。再入国は禁ずる』
木槌の音が響き、画面は暗転する。
その瞬間、私はスマホを抱きしめて泣いていた。
だって——推しが退場したのだから。
ヒロインルートを全クリアして、やっと開放された悪役令嬢ルート。
攻略対象は全員、闇を抱えたヴィラン達。
ロゼリアは平然と、でも確かに愛され、最後には笑うはずだった。
だけど、私は、あとひとり、最後の攻略対象を残したまま——私は死んだ。
転生とか異世界とか、そんな単語は知ってた。
でも、現実に起きるとは思わなかった。
目を開けた時、私は幼い体で孤児院のベッドにいた。
手は小さく、声は高く、目線は低い。鏡の中には月色の髪と緑の瞳。
——物語のヒロインの顔だった。
「えぇーー!?!?!?!?」
本来なら、この子は彼女を断罪する。
そして彼女は裁かれ、国外へ追われる。
そんな未来、絶対に見たくなかった。
だから私は決めた。
(私が推しを救う!!)
ヒロインが悪役令嬢を滅ぼす物語なんて、書き換えてやる。