あらすじ

結婚して間もない水野は、「円満な家庭」を築くために、論理を信じて生きている。 暖房は二十度。 根拠は論文と行政資料。 合理的で、持続可能で、正しい選択。 それは、二人で決めたはずの「家庭のルール」だった。 しかしある冬の夜、エアコンの表示は二十四度になっていた。 そのわずかなズレから、夫婦の間に、言葉にできない違和感が生まれる。 水野は、相手を思って調べ、選び、説明する。 夫は、正しさを否定できないまま、「説得されている苦しさ」を抱えている。 電気毛布、室温、会話のトーン。 小さな出来事の一つひとつが、二人の間で噛み合わない。 「論理的に話さないでほしい」と言われた夜。 初めて本音をぶつけた「話し合い」が、かえって距離を広げた夜。 論理を手放してみても、感情だけでは何も伝わらなかった夜。 義母や友人の何気ない言葉が、 「正しさより、一緒にいる感じ」 「適当でも、続くものは続く」 と、水野の価値観を揺さぶる。 それでも水野は、どちらにも完全には寄れない。 論理を捨てれば自分でなくなる気がして、 感情に寄れば嘘をつくことになる気がする。 二十四度の部屋で、答えは出ないまま、冬は続く。 夫婦も、たぶん、続いていく。 正解が見つからなくても、 「わからないまま隣にいる」ことはできるのか。 これは、 論理と感情のあいだで揺れ続ける一人の女性と、 その隣にいる夫の、 終わらない葛藤を描いた、静かな夫婦の物語。

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小説を読もう2026/01/17
  • 現在の作品二十四度のまま、二人で ― 正しさが、すれ違った夜 ―