あらすじ
「笑顔は満点だけど、なんだかとっても臭うの。――この人、嘘つきだわ」
没落しかけた武家ジウ家の令嬢ウェリンは、自慢の「鼻」で、完璧すぎる婚約者ベアードの裏切りを嗅ぎつけた。 『善意の支援』を隠れ蓑にした領民の拉致。農具に見せかけた私兵用の武器調練。そして組織的な物資の横領――。
誰もが「救世主」と崇める貴公子の正体は、領地を丸ごと解体しようとする毒蛇だった。
元旦の祝宴。本性を現したベアードから「婚約破棄」と「領地の接収」を突きつけられた瞬間、ウェリンと謎の侍女レニによる、鮮やかなる「掃除」が始まる。
「砂でも食んで、這ってお帰りなさい、泥棒さん。……あなたの最新武具、全部中身を入れ替えておきましたわ」
すり替えられた物資、保護された領民。完璧な計画を粉砕され、絶望に顔を歪める男に、極寒の雪原が牙を剥く。 ――これは、後に王国の運命を揺るがす大乱へと繋がる、小さな、けれど確かな陰謀の綻びの物語。