あらすじ
歴史学部に在籍する主人公は、卒業論文のテーマとして、自身が暮らす市の地名の由来を調査することを決める。
市内各地の地名を巡る中で、一つだけ、由来の全く不明な地名に行き当たる。―――それが「◆◆」であった。
古地図にも記録がなく、地誌にも記述が見当たらない。町に長く住む人々に尋ねても、誰もその名の由来を知らないという。
調べれば調べるほど、◆◆という地名は、まるで"最初からそこにあった"かのように、由来の空白を抱えたまま存在していた。
やがて主人公は、町の住人たちへの聞き取り調査を通じて、ある共通した"声"に触れていく。
それは、夜に誰かの名を呼ぶ声。返事をしてはならないという、古くからの言い伝え。
そして名を呼ばれた者が、ある場所へと"導かれる"という、記録にも残らぬ伝承。
"名を呼ぶ"とは何か。"地名"は、誰が、何のために与えるものなのか。
調査が進むにつれ、主人公は次第に、土地そのものが持つ"声"を耳を澄ませるようになっていく――――。