あらすじ
地球脱出に際し、許された手荷物は一人10キロ。
搭乗ゲートでは人々が金銀財宝をスーツケースに詰め込み、必死の形相で「財産」を死守していた。
そんな喧騒の中、一人の少女が両手で抱きしめていたのは、一匹のクマのぬいぐるみだけだった。
たどり着いた新天地は、地平の果てまで続く冷たい荒野。
人々がかつて命懸けで持ち出した「財産」は、わずか数分の暖をとるための燃料として燃やされていく。
すべてが灰に変わる絶望の世界で、少女はボロボロになったクマを抱き、一人裸足で駆け出した。
クマのお腹に隠された、父との約束。
人類が消え去ったあとの星で、少女の手に守られた種は静かに、けれど力強く、未来を告げる芽を吹く。