あらすじ
百年前の「無能戦争」で怪異と能力者が激減した世界。地脈が集中する枯沼市で、神廷椿は代々怪異を討つ一族の娘として、平穏な日々を送っていた。
ある夜、椿は廃ビルで奇妙な少女と出会う。金髪碧眼の工戸リンゴ——記憶を失い、「毒」を生成する力を持つ彼女は、毒への依存症を抱えながら放浪生活を送っていた。
「あたし? あたしはリンゴだよ」
天然で社会常識がなく、「クスリじゃなくて毒!」と笑う少女。だがその力は、復讐に燃える大怪異・クダヘビすら退ける凶悪さを秘めていた。
クダヘビの呪毒を受けた椿を、リンゴは自らの毒で救う。命を分け合った二人の血が交わった時、椿の中で眠っていた力が覚醒する——緑色の光を纏う刀「毒刃」。それは毒と剣術が融合した、彼女だけの武器だった。
しかし、クダヘビの地脈侵食は止まらない。破壊されていく故郷の町。椿はクダヘビの心の傷——かつて愛した者を失った怨恨を知りながらも、リンゴと共に立ち向かう。
「自分の事しか考えられないモノには、なりたくない!」
「あたしは椿ちゃんが好きだよ」
依存と救済。毒と剣。正反対の二人が紡ぐ、破壊と再生の物語。
町が毒沼に沈んだ朝、椿とリンゴは共に朝日を見る。初めて誰かと同じ景色を見た少女の涙が、新たな旅路の始まりを告げていた。