あらすじ
遠藤二三夫(ふみお)は、人生のあらゆるタイミングを間違えてきた「書き損じ」の男だ。 雨の交差点、子猫を助けようとしてトラックに撥ねられた彼が、死の間際に抱き上げたのは――ただの「猫のぬいぐるみ」だった。
そんな無様な最期を遂げた二三夫が、神様の手違いで送り込まれたのは、情緒を重んじる異世界「ニッポンポン」。そこで彼は、二人の強烈な師匠に出会う。 竹篦(たけべら)一本でどんな頑固なシワも伸ばす、鉄の職人・鹿野(カノ)。 そして、琥珀色の飴に情緒を封じ込める、永遠の二十八歳の美しき菓子職人・喜古(キコ)。
「成功した完璧な人生」への切符を提示する神様に対し、二三夫が選んだのは、泥にまみれ、罵声を浴び、それでも一粒の飴に救われる「居残り修行」の毎日だった。 これは、居場所のなかった少年が、不器用な相棒・小武と共に自らの人生を「書き直す」までの、甘くて苦い再生の物語。
登場人物一覧
メインキャラクター
遠藤 二三夫(えんどう ふみお)
本作の主人公。極度のドジ体質で、何をやっても「首尾よく」いかない男。しかし、その「書き損じ」の性質が、実は情緒を尊ぶニッポンポンでは重要な鍵となる。お人好しで、最後にはエリートな来世よりも、泥臭い修行の毎日を選ぶ。
小武(コタケ)
二三夫のライバルであり、後に「居残り修行」の相棒となる青年。二三夫を陥れようと画策するが、詰めが甘く自爆してばかりいる。孤独な影を背負っていたが、二三夫との出会いによって、その影は分かちがたい絆へと変わっていく。
二人の師匠
鹿野 (かの )師匠
鹿野クリーニング店の店主。竹篦(しっぺい)一本でどんな頑固なシワも伸ばす、鉄の職人。口は極めて悪いが、二三夫の「不器用な一生懸命さ」を誰よりも厳しく、そして温かく見守っている。
喜古(きこ)師匠
菓子屋「喜古堂」を営む女性。人々の情緒を飴に封じ込める達人。二三夫に「ハッカ飴」を与え、彼の心が折れそうになるたびに、その甘みと情緒で救い出す。ニッポンポンの精神的支柱。
その他の重要キャラクター
神様
天界の役人のような存在。二三夫の死を「あまりに無様」と哀れみ、ニッポンポンへ送り込んだ。二三夫に「成功した人生」へのやり直しを提案するが、最終的には彼の「居残り」という選択を尊重し、ニッポンポンの住人として認める。
ハナちゃん
喜古師匠の孫娘。街の看板娘であり、二三夫の淡い初恋の相手(?)。二三夫の失敗を笑い飛ばし、前向きなエネルギーを与える存在。