あらすじ
辺境の村ユルゲンで墓守として暮らすハーフエルフの青年セルゲイ。
彼はかつて日本で生き、三十歳で命を絶った男――冬木悠真の転生者だった。
この世界で穏やかな日々を送り、仲間や大切な人も得た。
それでも彼の胸には、消えない疑問が残っていた。
――この身体の、本当の持ち主はどこへ行ったのか?
妖精女王ティターニアの導きによってこの世界へ来たこと。
そして「本来のセルゲイの魂」は妖精界――“隣人の国”にあるという事実。
十五年に一度、二つの月が重なる夜。
妖精界への扉が開くその時、セルゲイは自らの存在に決着をつけるため、禁忌の森へと足を踏み入れる。
そこで出会うのは、記憶を食う妖精、魂を奪われた“もう一人の自分”、そして気まぐれで残酷な妖精女王。
記憶を代償に魂に触れる泉。
選べる道は二つ――「返す」か、「奪う」か。
これは、
借り物の人生を生きる男が、
“自分は誰なのか”を問い続ける、魂の物語。