あらすじ
祈りは、届くとは限らない。
幼い頃、魔物に村を滅ぼされ、孤児となった少年ルカ。
彼は片田舎の孤児院《蒼羽の巣》で、仲間たちと家族のように暮らしていた。
十二歳の誕生日――
それは、この国で「識別式」を受ける日。
水晶に触れ、魔法の属性と才能を“選ばれる”運命の日だった。
火か、水か、それとも無属性か。
“色付き”は特別とされ、“色無し”は平凡とされる世界。
ルカは、"祝福"を、なぜか素直に喜べずにいた。
選ばれることは、何かを得ること。
そして同時に、何かを失うことでもあるから。
家族のように大切な仲間たち。
彼らと過ごす「当たり前の朝」が、いつまでも続いてほしかった。
しかし、識別式の日を境に、少年たちの運命は静かに、確実に狂い始める。
祈りが届かなかった過去。
女神に選ばれるという名の残酷。
そして――再び、奪われる日常。
これは、
“選ばれてしまった少年”が、それでも運命に抗う物語。
いつか、自分の名を。
そして、大切な人の名を――
胸を張って呼べる日まで。