あらすじ
信号待ちの交差点
隣に居た高齢女性がよろけて車道に倒れそうだった
幼い我が子が転ぶのを支える様に反射で伸ばしたその手にかかった負担は、我が子のそれより重かった
そして、バランスを崩し自らが車道によろけた
下田勉、三十五歳。
彼は事故の加害者として、世間から激しい非難を浴びる
「老い先短い人間を救うために、新婚の男を殺した」
ネットに溢れる無責任な言葉は、彼の善意を切り刻んでいった。
一方、亡くなった運転手の新妻は下田を責めなかった。
「私たちは無責任な言葉の被害者同士なんですよね」
その言葉に下田は救いと信じ始めてしまう。
責められなかったことで、罪の行き場を失った男は、家庭を持ちながらも、その心が静かに歪んでいく―――
正しさが罪を作る。
そして、許しが人を壊した。
【光の矛盾】で主人公前原えりの夫浦田啓介を彼女から奪った事故の加害者とされた男の物語