あらすじ

二〇〇二年、夏。 十一歳の僕は、隣に住む十七歳の凪沙(なぎさ)さんから一台の使い捨てカメラを託される。 「これで、湊くんが見た『夏の秘密』を撮ってきなさい」 ファインダーという小さな四角い枠越しに、僕は大人たちの「名前をつけられない想い」を目撃していく。 放課後の旧校舎、重なり合う少年たちの影。 鏡越しにしか触れ合えない、兄妹の静かな絶望。 そして、僕を見つめる凪沙さんの、悲しいほどに震える指先。 社会のラベルに当てはめれば「異常」や「禁忌」とされるそれらの光を、僕はただ、ありのままにシャッターに収めた。 「いつか、私たちが自分の名前に納得できたら。その時に現像しよう」 それが、僕たちの交わした、現像されない明日への約束。 使い捨てカメラのカウンターが「0」になる時、夏は終わりを告げる。 これは、誰にも汚されないようフィルムの暗闇の中に守り抜いた、僕らだけの黄金色の夏の記録。

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カクヨム
カクヨム2026/01/15
  • 現在の作品未現像の夏、僕らの色