あらすじ
「私、起立性調節障害なんだ」
その言葉を聞いたとき、藤原悠真は理由を一つ手に入れた気がした。
高校生活の中で、少し不器用だけど優しい悠真は、白石結菜のそばにいることを選ぶ。
教科書を運ぶ手や体育祭の準備、日常のささいな瞬間にさりげなく寄り添いながら、二人は少しずつ距離を縮めていく。
しかし、体調の急変や連絡が途絶える時間は、二人の間に静かな不安を生む。
それでも、再会の瞬間や一緒に歩く時間の中で、理由が言葉にならなくても、互いの存在が支えになっていることを感じるようになる。
冬の街並みを一緒に歩き、同じ速さで笑い合う日々。
理由を完全に知ることはできなくても、隣に立つことの意味を、二人は自然と受け止めていく。