あらすじ
アルベレオ王国の技術者ルディアナは、百年近く北方の雪深い山奥で孤独な生活を送っていた。 かつて提唱した「リメラ」と「プライマル理論」は国によって生体兵器へ転用され、多くの命を奪った。大災害の際に生じた技術的なエラーにより不老不死となった肉体を持て余し、死ぬことすら許されずに時間を浪費していた。
ある晩秋の日、ルディアナは川で瀕死の重傷を負った男を助ける。
名はヒースという。
敵対するソルディア帝国の辺境伯であり、魔法使いだった。
和平を望んだがゆえに仲間に裏切られ、瀕死の状態で転移スクロールを使用し、ルディアナの元へやってきた。
本来ならば殺し合うべき間柄ながら、ルディアナは彼を自宅へ運び込み、持ち前の知識や経験とハーブを用いて治療する。
雪に閉ざされた家での共同生活では、技術者と魔法使い、異なる文化や価値観を持つ者同士、奇妙な信頼関係が芽生え始める。
傷が癒え始めたころ、食料確保のために向かった「陽だまりの窪地」には、廃棄したはずの第一世代リメラの残骸が鎮座していた。
侵入者に反応して再起動した殺戮兵器に対し、ヒースは自らの生命力を削る極限の魔法を行使して対抗する。
命を軽んじる不死者と、命を削って戦う魔法使い。
これは、死を願う不死の技術者が、生を望む敵国の男と出会い、雪解けの季節を迎えるまでの物語。