あらすじ
機械は嘘をつかない。人間よりもずっと正直だ。
クロックフォード公爵家の長女リディアは、魔力を持たない「欠陥品」として実家を追放された。
家族に見捨てられた彼女が選んだのは、煤煙と油の匂いが漂う下町の廃工場。
そこで彼女は、誰にも知られず夜ごと街へ繰り出す。
彼女には秘密があった。
触れた機械の「痛み」や「記憶」を読み取り、魔力なしで蘇らせる異能「機構共感」を持っていたのだ。
人々が恐れる夜の闇。
それを払うため、彼女は壊れた街灯の悲鳴に耳を傾け、煤まみれになって修理して回る。
そんな「幽霊」のような彼女を見つけたのは、無骨な夜警隊長ダリウスだった。
「君の手は魔法より温かい」
誰からも無能と蔑まれた技術が、いつしか街を救う黄金の光となり、頑なな騎士の心さえも溶かしていく。
だが、その光はやがて国を揺るがす巨大な不正をも照らし出してしまう。
迫る権力者の魔手。
奪われる工具と居場所。
すべてを失った少女は、それでも再び工具を握れるのか。
そして、自分の壊れた心まで直すことができるのだろうか。