あらすじ
※本作は中華圏の作家・迦兰多(Jialanduo)による書き下ろしです。
【あらすじ】
「あなたの骨は、いい音色(ねいろ)で鳴きますか?」
本能寺の変から三ヶ月。明智光秀は死に、織田信長の遺体は見つからなかった。 敗走した明智軍の雑兵・井上惣次郎が迷い込んだのは、雨の降り止まぬ丹波の深山、愛宕山。 そこで彼は目撃する。首を異常に伸ばし、空を恋う村人たち。そして、自らの重たい肉を削ぎ落とし、「風」になろうとする狂気を。
山頂に待つのは、胸に巨大な空洞(うろ)を穿ち、自らを台風へと変えた「第六天魔王」織田信長。 そして風の眼で血を流し続ける、哀しき「重力」の化身、明智光秀。
人を辞めて軽くなるか、人として重く堕ちるか。 現実と悪夢の狭間で、ある武士が選んだ「究極の詰碁」の物語。
【登場人物】
井上 惣次郎(いのうえ そうじろう) 生きるために逃げ続けるだけの空っぽな武士。その「空虚さ」ゆえに、魔王の風を奏でる最高の「骨笛」としての才能を見出されてしまう。
織田 信長(おだ のぶなが) もはや人ではない。胸の空洞に虚空を飼いならし、世の全ての「重さ(しがらみ)」を吹き飛ばす暴風と化した魔王。
明智 光秀(あけち みつひで) 風の眼に鎮座する裏切り者。信長によって「心」という呪いを残され、その強烈な重力で暴風を繋ぎ止める「生きた錨」となっている。