あらすじ
――いやあ、実によかったよ。恐竜狩り。あれは絶対に行くべきだねえ。
――火山の噴火ツアーは行った? 町が溶岩に呑み込まれる瞬間、ぞくぞくしたわあ……。
「……つまらん。実につまらん」
夜、無人タクシーの後部座席で、男は肘を窓枠に置き、流れゆく街の灯りを半眼で追いながら呟いた。
現代。人口こそ減少したものの、科学技術の発展により、人々はおおむね不自由のない暮らしを手に入れていた。価格帯に差はあれど、誰もが一体以上のアンドロイドを所有し、ネットに接続すれば、娯楽も知識も刺激も、すべて指先一つで手に入れられる。端末が旧式であろうと廉価品であろうと関係ない。ネットに繋がりさえすれば、見える景色は同じだ。金持ちと貧乏人の格差は依然として存在していたが、『退屈』という一点においては、誰もが平等であった。
少し前までは――。
しかしある日、ついにタイムトラベルが現実のものとなった。