あらすじ
――あなたは、恋をした瞬間ではなく、“最後の一音”で死にます」
王都の医師は淡々と言った。恋が成立すると、心臓は“曲の終わり”を求め、身体がそれに従ってしまう呪い。
歌姫見習いの私・リラは泣かなかった。代わりに静かに決める。この条件で生きる。歌うなら、終わり方を選ぶ。
拾ってくれたのは、無口で合理主義だと噂の公爵家の楽長・セヴ。
「死ぬなら、原因を切る。――恋の終止符を変える」
彼は多くを語らない。けれど譜面を照らす灯り、温い紅茶、過剰に静かな部屋。
行動のすべてが、私の味方だった。
“やりたいことリスト”を一つずつ叶えながら、私は知ってしまう。
セヴの沈黙が、優しさでできていることを。
そして――恋の呪いは、逃げるほど濃くなることを。
最後の一音を、誰と、どんなふうに迎えるのか。
その答えを探す音楽の日々が、今、始まる。