あらすじ

朝は来た。 だが町は、昨日の「順番」を引きずったままだった。 音や光は戻っているのに、人々の行動だけが噛み合わない。 誰が先で、誰が次か。 その当たり前だった順序が、静かに失われていく。 瓦版屋の前に並ぶ白い紙。 役所で止まる決裁。 等間隔で立ち止まる人々。 誰も間違えていない。 ただ「今、自分ではない」ことを、皆が直感的に理解し始めていた。 この町では、何かを書き、決め、進めることが力を持つ。 だが同時に―― 書かないこと、決めないことにも、確かな重さが生まれ始めていた。 瓦版屋の吉次は、刷らない。 少女は、書かずに測りに来る。 影はそれを「順番の外縁」と呼ぶ。 順番から外れることは、逃げでも反抗でもない。 それが罰なのか、解放なのか、町はまだ決められない。 これは、行動する者ではなく、 「まだ書かなくていい時間」を引き受ける者たちの物語。 誰が先かではない。 誰が後かでもない。 問われるのは―― どこまで、書かずにいられるか。 名を持たない問いが、町と人を静かに選び始める中、 物語は、確かに次の段へ進み出す。

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エブリスタ
エブリスタ2026/01/03
  • 現在の作品『まだ書かなくていい時間』 ― 順番の外縁、名を呼ばれない朝 ―