あらすじ
東京の大手企業で働く水野純は、祖母の訃報を受けても仕事を優先し、葬儀に間に合わなかった自分を責めていた。祖母・銀子は鎌倉の老舗銀細工工房「銀水堂」の職人で、純の成人式にシルバー925のブレスレットを贈っていた。
母から「祖母の最後の作品を見せたい」と連絡を受けた純は、十年ぶりに鎌倉の実家を訪れる。そこには、未完成のティアラと「完璧にしなくていい。925のままでいい」という祖母の言葉が残されていた。工房では、かつての幼馴染・鉄郎が弟子として働いており、新人の美大生・真白も修行に来ていた。完璧な技巧を誇る真白だったが、心がこもらない作品に苦しんでいた。その姿にかつての自分を重ねた純は、祖母のメッセージの意味を模索し始める。
母から、祖母が「不完全なものこそ強く美しい」と気づいた過去を聞かされ、純は涙ながらに自らの完璧主義と決別する。純は真白と共に、祖母の未完のティアラを完成させようと決意。偶然生まれた歪みや空白を生かしながら制作を進め、「完璧じゃないから美しい」という信念に辿り着く。完成したティアラは美術館に展示され、人々の心を打つ。