あらすじ
目を覚ましたとき、
霜座 冷はすでに人としての輪郭を失っていた。
剣と魔法の世界に転生したはずの男――霜座 冷は、
自分が意思だけを残した氷として、この世界に放り捨てられていることを思い知らされる。
動けず、声もなく、
触れられれば溶け、
認識されれば失われる。
名を持たぬまま運ばれる中で、
それでもなお霜座 冷は、
目を逸らせないものを見てしまう。
――この世界には、
自分と同じ「理」を宿す存在がいる。
それは同族であり、
出会った瞬間、どちらかが“成立しなくなる”ものだった。
これは、
冒険者になれなかった氷――霜座 冷が、
避ければ生き残れたはずのものに、
それでも手を伸ばしてしまった物語。