あらすじ
「エルナ・フォン・バウムガルト! お前のような偽聖女は我が国には不要だ。今すぐ出て行け!」
バウムガルト王国の第一王子カイルから、婚約破棄と国外追放を告げられたエルナ。妹のミラは「お姉様の手柄は私のもの」とあざ笑い、周囲の貴族たちは無能な彼女の追放を拍手で迎えた。
だが、誰も知らなかった。
彼女がボロボロになりながら、その身を削って王国全土の『大結界』をたった一人で維持していたことを。
「もう、疲れちゃった……」
すべてを諦め、吹雪の吹く死の地境へと足を踏み入れたエルナ。
凍え死ぬのを待つだけの彼女の前に現れたのは、隣国の若き暴君として恐れられる「氷の皇帝」レオンハルトだった。
「ようやく見つけた。十年前、私を救ってくれたのは……君だったんだね」
彼はエルナを抱き上げ、世界で最も甘い誓いを立てる。
一方で、エルナという唯一の守り手を失った王国は、瞬く間に魔獣の脅威にさらされ、崩壊の危機に瀕していた。
「戻ってきてくれ、エルナ! 君がいないと国が滅びるんだ!」
「……今さら何をおっしゃるのですか?」
泣きつく王子たちを冷徹に切り捨て、エルナは帝国の皇后として、陛下から執着に近いほどの溺愛を受ける日々を送ることになる。