あらすじ
少年・パークは、
かつて学芸員だった病弱な母から、
古いライカのフィルムカメラを手渡される。
そして、ひとつだけの願いを託される。
「病人としてじゃなく、
ひとつの作品として、私を撮ってほしいの」
レンズ越しに、パークは世界を配置することを
覚えていく。
母を丁寧にフレームに収め、
美しい部分だけを残し、
思い出すには痛すぎるものを、静かに隠しながら。
病が進むにつれ、
写真は彼にとって避難場所であり、
同時に、重荷にもなっていった。
そして最期の日。
病院のベッドに横たわる母が放った、たった一言が、
パークにカメラを下ろさせる。
彼は、撮るはずだった最後の一枚を逃してしまう。
その欠落は、
何年ものあいだ、彼を空白のままにした。
――やがて、彼は別の女性と出会う。
それは、
彼がずっと探し続けてきた「最後の一枚」になるのか、
それとも――
撮ることを、最も恐れている存在なのか。