あらすじ
現代日本。突如として現れたダンジョンは、富と栄光をもたらす一方、致命的な『汚れ(魔力残滓)』を排出し続けていた。 ダンジョン庁の臨時職員・灰島(はいじま)レイは、他人が忌避するその不浄をその身に吸い込み、中和し続ける『世界のゴミ箱』。全身を呪毒の痣に蝕まれながらも、彼は十年間、たった一人で王都の平穏を支えてきた。
しかし、新任局長・毒島(ぶすじま)景時は、レイを「非効率なコストの無駄」と断じ、冷酷に解雇を言い渡す。 「君の代わりなど、機械で十分だ」
職を失い、死を悟ったレイは、人目を避けて禁足地『死の森』へと向かう。せめて最後は、誰にも知られず静かに腐り落ちるために。 だが、彼が職を辞した瞬間、東京は気づくことになる。 灰島レイという名の『巨大な避雷針』を失ったことで、十年分の呪毒が一気に逆流し、世界が崩壊へと向かい始めたことに。
一方、当のレイは死の淵で知る。 己の中に蓄積された膨大な「汚れ」が、十年の圧縮を経て、あらゆる不条理を書き換える『神の力(聖魔融合炉)』へと昇華されていたことを。
レイが無自覚に森を神域へと変え、そこで封印されていた絶望の巫女・閑鳴宵織(しずなりいおり)を浄化し、彼女から狂おしいほどの愛を捧げられている頃――王都はかつて自分たちが捨てた「ゴミ箱」の価値に気づき、絶望の淵で泣き叫んでいた。
「もう遅い。俺はもう、お前たちの汚れを吸ってやるつもりはないんだ」
これは、世界に捨てられた掃除屋が、無自覚に新しき神となり、重すぎる愛を抱く少女たちと共に「本当の聖域」を築き上げる物語。