あらすじ

僕は一度、死んでみたいと思っていた。 それは生きづらさからでも、絶望からでもない。ただ、いつか必ず訪れる死について、何も知らないまま生きているのが無責任に思えたからだ。 二十一歳の「僕」は、ある日から“死神業務”に関わることになる。 それは鎌を振るう仕事ではなく、死が確定した人間を記録し、処理し、世界から切り離すための、極めて事務的な役割だった。 案内役として現れたのは、感情を削ぎ落としたような無表情の彼女だった。残業代やノルマといった現実的な話題を口にしながら、淡々と業務を進めていく。 新幹線のホーム、雑踏の交差点、住宅街やダム──死は特別な場所ではなく、日常のすぐ隣にあった。 二日間の同行の中で、「僕」は他人の死を見続け、同時に、自分自身の世界の見方が静かに変わっていくことに気づく。 これは、死を選ぶ物語ではない。 死を「わかったつもり」で生きてきた青年が、死を語らずに、ただ自分の生を確認していく語。

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カクヨム
カクヨム2026/01/14
  • 現在の作品死神業務、死を語らず