あらすじ
人を殺せば、罪は消えない。
この世界では――それが文字通りの意味を持つ。
殺人事件が異常な頻度で発生する現代日本。
死者の魂から滲み出る「罪」は黒い毒となって世界に蓄積し、
人々の心を蝕み、新たな殺意を生み出していた。
かつて存在したという〈浄罪師〉――
罪を浄化し、魂を輪廻へと還す者。
しかし【殺人】の罪だけは浄化できず、その魂は廃棄される。
三百年の封印を経て、浄罪師は再び動き始める。
一方、鞍月蒼は平凡な高校生として生きていた。
十年前、夕暮れの帰り道で母を殺され、
犯人を許せず、同時に「人を殺してしまう自分」を恐れ続けている少年。
――もし犯人に出会ったら、俺は殺すのか。
その問いを胸に抱えたまま、蒼は
“罪が見える世界”と否応なく関わっていく。
罪は、赦されるのか。
殺意は、浄化できるのか。
そして、人を殺した者は――人でいられるのか。
これは、
「裁く者」ではなく
「殺してはいけない理由を知る者」の物語。
崩れゆく現代で、
最後に人間であり続けるための、浄罪の記録。