あらすじ
「一瞬で100万円、手に入れませんか?」
パチンコに負け、人生のどん底にいた佐藤の前に現れた不気味な男。提示された条件は、あまりに馬鹿げたものだった。 謎のボタンを押せば、何もない異空間で「5億年」を過ごすこと。ただし、期間を終えて現実に戻った瞬間、あちらでの記憶はすべて抹消される。
「記憶が消えるなら、実質0秒。ノーリスクのぼろ儲けだ」
ヤケクソでボタンを押した佐藤を待っていたのは、音も、匂いも、終わりもない純白の地獄。 一時間が、一年が、一万年が過ぎていく。 飢えることも死ぬことも許されない静寂の中で、淡々と刻まれるアナウンスだけが佐藤の理性を削り取っていく。
次第に崩壊していく自我。そして、数億年という果てしない時間の果てに、佐藤の精神が辿り着いた「境地」とは。
戻ってきた現実の1秒間で、手にした100万円と引き換えに彼が失った「何か」の正体に、あなたは戦慄する。