あらすじ
握りしめる癖がある。
ゴルフクラブも、ドアノブも、人の期待も――そして、痛みさえも。
別府を出て東京へ。昼はゴルフ、夜は銀座。
「話しやすい」「癒される」――褒め言葉が増えるほど、息が浅くなる。
上手くなりたいのに、握るほどクラブは暴れ、人生も曲がっていく。
壊れかけた夜、ユナは“塩”を選ぶ。
そして海の向こう、ニュージーランドへ。
言葉が足りない場所で、たった四つの短い英語――
Please / Sorry / Thank you / Help が、彼女の身体を生き返らせていく。
帰国後、彼女は小さなクラスを始める。
飛距離よりも「壊れない握り方」を教えるために。
撮らない男・蓮。
踏み込みすぎず、掴まない距離。
その余白が、なぜか救いになる。
ほどいても、失わない。
そう知ったとき、ユナのグリップは――人生を飛ばし始める。