あらすじ

1. 祝福みたいな追い風 四月の港町は、潮の匂いより先に、新しい制服の硬さを連れてくる。襟が首に当たってむず痒い。胸ポケットの名札がまだ馴染まず、歩くたび小さく揺れた。 駅前の坂を下ると海が見える。校舎へ向かう道が、朝だけ少し青くなる。その色が好きだった。世界が「いけるよ」と言ってくれているみたいで。 その日、私は祝福を信じた。 信じたまま、転んだ。 靴紐がほどけたことに気づかず、横断歩道の白い線に足を取られた。視界が斜めになる。慌てて手を出した瞬間――ベルの音と、ブレーキの低い唸り。

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小説を読もう2026/01/14
  • 現在の作品『19:10、改札で君は二人になる」