あらすじ
天使の身体が「万能薬」として高値で売買される現代。
翼を根こそぎ奪われ、地に堕ちた元上位天使の灰(カイ)は、歌舞伎町の路地裏で、同胞の肉体を取り返す「紛失物屋」を営んでいた。
ある雨の夜、カイはゴミ捨て場で死にかけていた少女・ナギを拾う。
彼女の背中に移植されていたのは、かつてカイから奪われた「自分自身の翼」だった。
殺してでも翼を奪い返そうとするカイ。
だがナギは、移植された翼を通じてカイの壮絶な過去と痛みを「夢」として共有してしまう。
「……ごめんね、カイ。あんなに痛かったんだね」
自分を傷つけた翼を持ちながら、底抜けの明るさで懐に入り込んでくるナギ。
そんな彼女に毒気を抜かれ、不本意ながらも共同生活を始めたカイだったが、街では天使の血を巡る猟奇的な連続殺人事件が動き出していた――。
残酷で美しい、現代ダークファンタジー・クライムサスペンス。
失われた空を追い求める、二人の不完全な共鳴が始まる。