あらすじ
平凡な大学生・和田毅 凌之助の日常は、突如として閉ざされた世界で崩壊した。
突如始まった謎の殺人ゲーム、『境界の揺籃(ボーダー・クレイドル)』。参加である「欠落者(ディフェクティブ)」たちが凶器を手に襲いかかり、かつての友人が次々と肉塊に変わっていく地獄。
絶望に震える凌之助を救ったのは、同じサークルに所属する、物静かで美しい中性的な同大学学生――蓮倉 莉瑠蘭だった。
しかし、彼女が差し伸べたのは救いの手ではなく、血塗られた「猟奇殺人鬼」の手。
彼女はまるで、快楽を堪能するかのように他のプレイヤーを殺傷して行く。
凄惨な殺戮の最中、彼女は異国の童謡を流暢口ずさみ、まるでキャンバスに絵を描くような軽やかさで、敵を、秩序を、そして「倫理」を解体していく。
彼女の笑い声が響く一方、正義感を捨てきれない竜胆川 凛咲や、底知れぬ思惑を秘めた九条 エリザ。
それぞれの「業」が交錯する中、莉瑠蘭のキルスコアは異常な速度で上昇し、ついに掲示板の頂点に彼女の「破顔」が刻まれる。
これは、絶望の箱庭で「普通の青春」を夢見た化け物が、その本性で世界を塗りつぶしていく、残酷で美しい生存記録。
これは、壊れゆく日常の淵で『普通』に縋り付く凡夫が、美しき凶獣の瞳に映る自分を見つけ、絶望を分かち合うまでの混迷記録。
これは、剥き出しの狂気に『正義』を否定された罰の化身が、朽ち果てた倫理を抱き締め、地獄の果てで己の型を貫くための抗戦記録。
これは、ゲームを予測したような観測者が、最高傑作という名の殺戮人形が織りなす悲喜劇を、最前列で興味と共に飲み干す全景記録。
今、揺籃と庭園で育まれる『人間の狂気』が、美しく咲き狂う。