あらすじ

一体誰が許せるだろうか。 それは世紀の大厄災、未曾有の災禍、忌むべき厄禍。 怒り狂う民衆の心にあるのは帰らぬ人となった家族のこと。目を閉じれば思い出すのは脳裏に焼き付いた、冷たく血濡れた妹の姿。何年経とうと忘れられないのはもう見ることの出来ない妻の花が綻ぶような笑顔、最後に見た恐怖に染まった彼女の表情。 この世の慈悲深き女神様であろうと手を差し出し厄災に贖罪の機会を与えることはなく、悲痛に目を伏せるだけだろう。 それほどのことをしたのだ。口に出すのも憚られる惨憺たるあの有様を、街は燃え、人の気配はなく、あるのは積み上げられた死体の山と衝撃で崩れたのだろう建物の残骸だけ。 人の情を持ち合わせぬ化物、魔族よりも残忍で退屈しのぎにやったのだと淡々と告げる女を、私たちは忘れてはならない。しかしこの世に生きるのが人であるから、いずれ忘れられていってしまうのだろう。故に語り継ぎ、書き記そう、少しでも長く少しでも大勢に知られるように。時の流れに任せてしまえばいずれ御伽噺となってしまう。 語りましょう、紡ぎましょう。これより語るは千六百年前に幕を開けた「ローズマリーの大厄災」、厄災と言われた女の話。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/01/14
  • 現在の作品ローズマリーの大厄災