あらすじ
「1ルナの計算も合わない無能に、用はない。今すぐ去れ!」
王立魔導院の帳簿係アルバスは、次期院長デイルマンから理不尽な追放を言い渡される。 十五年間、不眠不休で王国の「魔力収支」を合わせ続けてきた献身は、たった一円の誤差を口実にゴミのように捨てられた。
だが、デイルマンたちは知らなかった。 この国の華やかな魔法文明は、すべてアルバスが個人で補填していた「魔力の借金」の上に成り立つ砂上の楼閣だったことを。
「僕がいなくなれば、この国の魔力残高(ライフライン)は三時間で底を突きますよ?」
忠告は失笑と共に切り捨てられた。 しかし、アルバスが門を出た瞬間、世界のシステムが冷酷に告げる。 『魔力補填者』から、一兆マナの『魔力権利者』へのクラスチェンジを。
アルバスが去った王国が未曾有の「魔力破産(デフォルト)」に突き落とされる一方で、彼は隣国の帝国へと向かう。 そこには、アルバスの持つ「理の改竄(複式簿記)」に気づいた帝国聖女や、かつて滅ぼされたはずの魔王が待ち構えていた。
「アルバス様。貴方を捨てた愚かな国など、私たちが買い叩いて滅ぼしてあげましょうか?」
これは、世界一の帳簿係が、無自覚に世界の資産を運用し、聖女たちの重すぎる愛に包まれながら、かつての故郷を経済的(物理的)に破滅させる物語。