あらすじ
「お前はもう用済みだ。歩く汚物溜めめ」
十五年間、王国全土の呪いや厄災をその身に肩代わりし続けたアルスは、ボロボロになった身体で大聖堂を追放された。 自らの身体を「触れるもの全てを腐らせる呪いの塊」だと思い込むアルスは、誰にも迷惑をかけない場所で死ぬため、人跡未踏の『死の森』へと向かう。
だが、彼は知らなかった。 十五年もの間、数万年分の負のエネルギーを体内で練り上げ、耐え続けた結果――その魂が、あらゆる呪いを「神力」へと変換する**『神の領域』**に到達していたことを。
アルスが歩けば枯れ木に花が咲き、彼が溜め息をつけば死者が蘇り、彼がただの家を建てれば、それは神々がひれ伏す聖域(神殿)となる。 「いけない、俺の毒が漏れ出している……早く消えてしまわないと……」 絶望するアルスの前に現れたのは、かつて彼が命を懸けて救ったはずの、王国最強の聖女エルナだった。
「ようやく見つけました。私を、世界を救ってくれた……私の、唯一の神様」 「よせ、エルナ! 俺に触れたら君まで腐って――」 「……もう二度と、逃しません。貴方を捨てた世界なんて、私が滅ぼしてあげますから」
一方、最強の『浄化装置』であったアルスを失った王国は、堰せきを切ったように溢れ出した呪いによって滅亡の危機に瀕していた。 「アルスを連れ戻せ! 彼がいなければこの国は保たんのだ!」
今更そんなことを言われても、もう遅い。 世界一の幸せを掴もうとする無自覚な神様と、愛が重すぎる聖女たちによる、究極の勘違い救済ファンタジー、開幕。