あらすじ
小学生っていいよね。あ、お巡りさん私です。好きなんですよ。好きって言うと語弊があるけど、あの「言葉にできないことが多すぎて、とりあえず走る」感じが好きなんですよ。でも書くのは難しい。小学生じゃないから。
小学生らしさってなんだ?
テレビの下のガラス戸を、爪先でカン、って開け閉めするやつ? あれ、みんなやりますよね。怒られるまでがセット。怒られると、なんか世界が“ちゃんと”する。でもまたやる。そういう生態。
魔法少女っていいよね。あ、現実逃避。
好きなんですよ。でも書けない。魔法少女じゃないから。魔法少女な人いません? 取材させてください。防犯ブザーとか持ってません?(ない)
――というわけで、この話。
放課後の公園。小学三年生の春野ユウトは、知らないスーツのお兄さんに声をかけられる。
反射で鳴らした防犯ブザー。
次の瞬間、光。背が伸びる。体が軽くなる。
そしてなぜか、フリフリ衣装。
「契約、成立しちゃったので……」
名乗ったお兄さん――桜井さんは、事務的にオドオドしながら言う。
ネガモンスター? 本部? 規定? 倫理? 知らん。
でも夕方から夜だけ、街に出て怪物を殴れ、と。
変身すると速い。跳べる。強い。恥ずかしい。ちょっと楽しい。
家には秘密。お母さんには言えない。言えないから、胸の奥に説明できないものが溜まっていく。
やがて現れる相棒、キュアライトニング。
鈴の音みたいに明るい彼女と、短い夜を駆け回るうちに――
“最後の戦い”は、思ったより早くやってくる。
小学生の、言語化できない気持ち。
魔法少女の、言語化したくない事情。
防犯ブザーの、言語化不要の爆音。
これは、ショタが「変身」して、そして「戻る」までの話。
たぶん、世界は今日も平和です。……たぶんね。