あらすじ
一九六六年。黄金の島キルケーは、国家連合の圧倒的な近代兵器によって火の海に沈んだ。生き残った四歳の王子・アルヴィスは、記憶と力を封印され、極東の島国「日本」へと放逐される。
それから六十年。
渋澤健一(六十歳)は、市役所を定年退職したその日、虚無感と共に鏡を見ていた。
同期が老い、去っていく中で、自分一人だけが二十代半ばの瑞々しい姿のまま、時を止めている。自分は何者なのか? なぜ老いないのか?
その疑問は、深夜の急襲によって「絶望的な真実」へと変わる。
拉致された健一に放たれた拘束魔術。それが皮肉にも、六十年前の封印を食い破り、王の記憶を呼び覚ました。
「私は――キルケーの王、アルヴィスだ」
蘇ったのは、ハイエルフとしての絶大な魔力。そして、かつて故郷を蹂躙した者たちへの静かなる怒り。
だが、彼の選んだ復讐は、破壊ではなかった。
人類よ、括目せよ。これが――俺たちが六十年かけて磨き上げた、発展という名の復讐だ。