あらすじ
「……カビくさいな」
「ああ、雰囲気があるな……」
「怖い……」
大学の仲間らと合宿に出向いていた小生は、ほど近い場所に“出る”と噂される廃病院があると聞き及び、興味を抱いた者らと連れ立って、夜更けにその場所へと足を運んだ。
入口の硝子は無残に割れ、鋭い破片が懐中電灯の光を鈍く反射している。床には瓶の屑やタイヤ、ぼろ切れなどが散乱し、壁面には稚拙で荒々しい落書きが縦横無尽に走っていた。足を踏み入れて数歩進んだところで、天井から石膏がぼろりと剥がれ落ち、乾いた音を立てて床に砕けた。やけに反響し、皆びくりと肩を震わせた。
長年放置されて淀んだ空気は重く湿り、皮膚にねっとりとまとわりつくようで、不快感がじわじわと増していく。