あらすじ
空に浮かぶ黄金の都「硝子の揺り籠」。そこでは選ばれた民が、経年劣化する記憶を美しく整える「記憶調律師(メモリー・チューナー)」の恩恵を受け、永遠の安らぎの中に生きていた。 若き天才調律師エアラは、ある日、帝国創世の父である初代皇帝の記憶結晶を調律する中で、国家の根幹を揺るがす禁忌の真実に触れてしまう。帝国の繁栄は、地上のスラムに住む民から「希望」と「寿命」を奪い取ることで成立していたのだ。 大罪人として地位を剥奪され、不浄の地へと追放されたエアラ。そこで彼女は、他者の感情を音として聴き取る少年リュカと出会う。折れた音叉と、盗み出した禁忌の結晶。それだけを武器に、エアラは自分自身の奪われた過去を取り戻し、偽りの楽園を「調律」し直すための戦いに身を投じる。 記憶は誰のものか。奪われた未来はどこへ行くのか。 これは、どん底に墜ちた調律師が、少年と共に真実の旋律を紡ぎ出す、革命と再生の物語。