あらすじ
「あ~あ、みんな死んじゃったよ」
男がつぶやく。
「まさか、最後が俺だなんて……」
後ろにそびえる大木に背中をあずけながら、傘のように広がる緑葉を見上げた。
「はは、これからどうしようか?」
笑いながら木に問うが、かえってくるのは葉の擦れる音だけだった。
本当に、これからどうしよう。
周り一面には高々とした木が生い茂っている。
既に見慣れた光景だったが、何故か新鮮なものを感じた。
「これが心情の変化ってやつなのかね?」
男は木に問いかけた。しかし、かえってくるのはゴツゴツとした幹の感触だけだった。
そうやって木に触れていると、何故だか突然に登りたくなった。
何百年も生き続けたからこその視野を、俺も味わってみたくなったのだ。
早速、太い幹に足をかける。
ゴツゴツした樹皮はここに足をかけろと言ってるかのように俺を上まで導いた。
三分の一ほど登ると、陽を浴びて、立派に成長した太い枝に手をかけ足をかけた。
「ふぅ、ひとまず休憩するか」