あらすじ

代々医者の家系に生まれた俺は医大受験に失敗し、やる気の出ない浪人生活を送っていた。勉強に対するやる気も湧かず、無駄に時間が過ぎていく日々。そんなとき、親戚の少女を家で預かることになった。名前は甘原美津。15歳の高校生だった。最初は美津のことを邪険にしていたが、美津の美貌と人懐っこさに次第に距離を縮めていく。そして主人公は美津と一線を越えてしまう。いけないことだと分かっていたが、美津の魅力には逆らえなくなっていた。 そんなとき、主人公にNASAのエージェントであるクリス・キタザワが接近する。クリスは美津の正体は地球侵略を企む宇宙人で、地球人に接近して地球を乗っ取る計画なのだと明かす。主人公はあり得ないと一笑に付すも、翌日自宅に本物の拳銃と手紙が送られてくる。手紙には「宇宙人と言えど肉体は普通の地球人と同じだ。そいつで彼女を殺せ」と書いてあった。主人公は自分に美津が殺せるわけないと葛藤する。 クリスは俺が美津を殺害できないと見抜いており、彼を特別に横田基地の特殊区画へ連れて行く。そこで拳銃の射撃訓練、実際に宇宙人が来た際の被害想定などを教え込まれる。最終的には全面戦争になるとクリス・キタザワは伝え、「君は女といちゃついているが黙示録は近い」と告げる。主人公はクリス・キタザワに「分かった、俺がやる」と決意を伝える。 来たる11月11日。終末の日がやってくる。美津は「お兄ちゃんは生かしてあげる。わたしと二人、変わらずこの星で暮らそう」と唆す。美津と地球の運命が天秤にかけられたとき、クリス・キタザワが超長距離で美津を狙い撃つも、美津の再生能力によって狙撃は失敗。反撃されてしまう。「怖い。美津にはお兄ちゃんしかいないの。ずっと側にいて……」と美津は俺を抱きしめる。俺は美津の唇にそっとキスをして――。 「じゃあな」 と持っていた拳銃で美津の頭部を撃ち抜く。地球の終末は回避され、何気ない日常が戻り、主人公は医大受験の勉強に勤しむのだった。 10年後―― 俺は無事医者になっていた。脳神経内科医として日々患者と向き合う生活。そこにある日、16歳くらいの少女が患者としてやってくる。見た目が甘原美津にそっくりだったので、主人公は驚くが、調べると全くの別人だった。 彼女は栃木の山中で事故に遭って以来、一年間の記憶が無く、10年経っているのに身長体重が15歳のままなのだという。主人公は「医学的には問題無いし、証明できない。でも珍しい症例だから気になったら受診しなさい」と告げる。 珍しい患者だった。主人公は一つの仮説を立てた――宇宙人が15歳当時の彼女を拉致し、肉体をコピーしたのではないか。そうすれば辻褄が合うのだ。 後日、俺は古い新聞記事のアーカイブを調べた。そこには10年前、栃木で15歳の少女が行方不明になったという記事があった。俺はは自分の推論に自信を持つ。しかし宇宙人そのものやテクノロジーを見た覚えが無いので、確証が持てない。 古いアルバムから美津の写真を取り出す。そして、目の前の少女の顔と見比べる。瓜二つだった。 少女は次回の診察予約をせず、二度と現れなかった。彼女を探すべきか悩んだが、結局何もしなかった。 結局、終末の日とは何だったのか。甘原美津とは何者だったのか。自分の妄想だったのか――。 拳銃は今も、部屋の机の引き出しの奥深くに眠っている。それだけが、あの日々の唯一の証拠だった。

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カクヨム
カクヨム2025/12/30
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