あらすじ
藤井玲は、速さを誇らない。
青雲モビリティ大学校に通う整備科の学生で、放課後は黙々と車を走らせ、
「壊さずに速い」状態を作ることだけを考えている。
勝つためでも、見せるためでもない。
ただ、判断として正しい走りをしたいだけだ。
ある夜、閉鎖間際の鵠沢峠で、
玲は一人の女性ドライバー・秋月真希と出会う。
彼女が口にしたのは、
「速いね」でも「すごいね」でもなかった。
――踏めるのに、踏まない判断がいちばん上手い。
その言葉に、玲はうまく返事ができない。
否定できず、肯定もしきれず、
ただ「悪い気はしない」という感覚だけが残った。
理性で走る男と、
理性で世界を見てきた女。
整備、走行、判断、日常。
共闘と信頼を重ねるうちに、
二人は少しずつ、感情の距離だけを縮めていく。
これは、
激情も奇跡もないけれど、
理解されることで始まる、現実基調ラブコメ。