あらすじ
社会人三年目の小林恵麻は、推しキャラの死をきっかけに絶望する。
生きる糧だった漫画『クイーンズエッグ』で、最愛の伯爵エリオットがあっけなく殺されたのだ。
原作の結末を受け入れられず、衝動的に二次創作を書き始めたその瞬間――恵麻は物語の世界へ転移してしまう。
辿り着いたのは、原作開始以前のペインフォード領。
“黒伯爵”と噂され、誰も信じない孤独なエリオットがまだ生きている時間軸だった。
推しを救うには、まず彼の傍にいる必要がある。
そう判断した恵麻は、自身を「毒に耐性を持つ体質」と偽らず売り込み、被検体兼雑用として伯爵家に雇われる。
初対面で毒を試され、冷たく突き放されても構わない。
彼女が示したいのは好意ではなく、「それでも生きてほしい」という覚悟だけだった。
しかし、原作とは異なる噂、知らない人物、書いていない出来事が次々と現れ、世界は少しずつ“原作から逸れ始めて”いた。
シナリオの空白に踏み込んだ恵麻は、推しの死を回避できるのか――
それとも、別の運命が待っているのか。
これは、恋よりも先に救済を選んだ少女と、
孤独な伯爵が出会う、原作改変ファンタジー。