あらすじ
香が運命を読み解き、身分を定める「十二神の王国グランメル」。 この国では二十三年ものあいだ神々が沈黙し、国の秩序である「律香」が失われつつあった。
王国の名門に生まれたセラフィナは、可憐な「苺」の宿香を持つ聖女候補。だが、成人の夜に待っていたのは祝福ではなかった。父ダリウスからは亡き母の面影を重ねられ、「香を確かめたい」と歪んだ執着を向けられる。そして、かつて心を通わせた双子の姉エヴァリエからは、「穢れが混じっている」と冷たく拒絶されてしまう。
「わたしは、わたし」 父の操り人形になることも、姉に怯えて生きることも拒み、セラフィナは自らの意志で神殿に残ることを選ぶ。 支えとなるのは、遠くから聖女候補たちを見守る王太子アルディスの清冽な「白檀」の香と、彼がまとう知と武の守護者たちの存在。
折しも夜空には、二人の聖女の出現を予兆する「双子星(タウライア)」が観測される。 一人は「愛と支配を交わらせる赤薔薇」、もう一人は「闇と静寂を司る青椿」。
第一夜「星禊」、第二夜「星語」、第三夜「星結」――。 過酷な選定の儀式が幕を開ける。 香と星に翻弄される運命の中で、セラフィナが掴み取るのは「加護」か、それとも「変革」か。