あらすじ
彼女は、最近よく笑うようになった。
理由を聞いても、「今が楽しいだけ」と答えるだけで、何も教えてくれない。
帰り道。
コンビニ。
川沿いの遊歩道。
特別なことは何もない、ありふれた日常。
それなのに彼女は、ひとつひとつの時間を、確かめるように大切にしていた。
やたらと約束をしたがり、未来の話をしては、満足そうに微笑う。
――僕は知らなかった。
彼女に残された時間が、あと一ヶ月しかないことを。
これは、最後まで真実を隠し続けた彼女と、
何も知らないまま、普通の日々を生きた僕の物語。
嘘で守られた恋は、
別れのあとも、静かに心に残り続ける。