あらすじ
俺は、世間では「のっぺらぼう」として知られている。
そう、目も鼻も口もない、「卵のようなつるりとした顔」が特徴な妖怪だ。
のっぺらぼうである俺の仕事は、人を驚かせること。「最近、顔をなくしちゃってねえ~」とか言いながら卵のような顔を見せてやる。
悲鳴が上がる。その瞬間が最高のハッピーだ。
今日も俺は「獲物」を求め、一人のお嬢さんが近づいてくるのを待った。「悲しいなあ、見つからないなあ」なんて言いながら蹲っていると、優しいお嬢さんが声をかけてくれる。
そして、俺は「顔」を見せてやった。
だが、様子がおかしかった。
「お父さん?」と彼女はびっくりした顔をし、そのまま俺を「自宅」へと連れて帰った。
おかしい。何が起きている?
どうやらこの家の人たち、俺のことを「死んだお父さん」だと思い込んでいるらしい。そして俺ののっぺらぼうな顔を見てさめざめと泣く。
聞けばこの家の父親、「不審な死」を遂げているらしい。「顔のない死体」として発見され、確認が必要な状態だったとか。
そして、彼女たちは思い込んだ。のっぺらぼうであるこの俺が、「顔をなくした父親の幽霊」だと。
まずい。何かがまずい。しかも、「顔のない死体」が見つかったとかで、妙なミステリー小説みたいに「被害者が実は生きていて死体が偽装されてるんじゃないか」なんて疑いまで出ていやがる。
事件を解くカギが俺にあるとでも? 俺が本当に父親の幽霊なら、遺体がすり替えられた可能性が否定できる。
もしかして、俺は何かに利用されているのか。なんらかの犯罪が行われていて、そのトリックに利用されようとしている。
だとしたら、俺の運命は一体。俺は、誰を信じればいい?