あらすじ
「君を、僕の婚約者にしたい」
貧しい騎士家の娘・エレノアは、伯爵家嫡男エドガーからの求婚に夢見心地だった。
甘い言葉、優しい笑顔、愛していると囁いてくれる婚約者。
こんな幸せがあっていいのだろうか。
けれど彼の「愛」は、少しずつ形を変えていく。
「今日は誰と話した?」
「僕より王女が大事なのか?」
「君の仕事なんて、代わりはいくらでもいる」
気づけば周囲から孤立し、実家への援助を盾に脅され、仕事まで奪われそうになっていた。
愛だと思っていたものの正体に気づいた時、エレノアは静かに決意する。
「私は人間です。あなたの不安を埋める道具じゃない」
婚約を解消し、自分の人生を取り戻したエレノア。
一方、全てを失ったエドガーを待っていたのは、平民商家への入り婿という末路だった。
そこで彼は知ることになる。
自分がエレノアにしてきたことを、今度は自分がされる側になって。
声を出すことすら許されなくなった時、彼はようやく理解した。
あれは愛なんかじゃなかった、と。
だが気づいた時には、もう遅い。