あらすじ
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
盗み聞きをするつもりはなかったが、自分の名前が出たため彼女はサンドウィッチではなく2人に意識を向けた。植木の隙間から抱き合ったまま話を続ける2人の姿が見える。
ライアンが言っているのはこの場を取り繕うための方便ではなく事実だった。ライアンとエレナは正式な婚約者ではなかった。家が隣同士。ライアンは公爵家の次男で、エレナは侯爵家の長女だった。家の格があって、幼い頃から仲良くしていただけだった。けれど、パートナーの同伴が必要なパーティーにはいつも2人で参加していた。それにライアンとエレナはともに17歳であり、婚約者がいて当たり前の年齢だ。だからこそ、自他共に婚約者と同じようなものだと認識していた。
「それにあいつはひとりで生きていけるから」