あらすじ
本作は、初めて執筆した小説です。
玄関のチャイムを押そうとしたその瞬間、三十年前に別れた相手と再会してしまったら――。
本作は、そんな少し可笑しく、少し切ない場面から始まります。
老舗商家のお嬢様として生きてきた女性と、農家として土地と暮らしを守ってきた男性。かつて家柄の違いによって引き裂かれた二人は、年を重ね、親となり、それぞれの人生を歩んできました。
再会は感動的……とはほど遠く、覚えていない、名前を呼べない、立ったり座ったり落ち着かないなど、不器用なやり取りの連続です。思わず笑ってしまう喜劇の中で、少しずつ明らかになるのは、当時知らされなかった「別れの本当の理由」でした。
知らなかったからこそ、傷つき、意地を張り、それでも前を向いて生きてきた三十年。真実を知った今、二人は恋をやり直すのではなく、「今の人生を肯定する」という選択をします。
笑いあり、涙あり、切なさあり、そして読み終えたあとに温もりが残る、大人のための人生喜劇です。
雨が降っても、また太陽は昇る。
その意味を、ぜひ物語の中で確かめていただければ幸いです。