あらすじ
20XX年、医療の主役は「鏡」になった。
洗面所で舌を出すだけで全身の異常を検知する『スマート・ミラー』の普及。
かつて非科学的と切り捨てられた東洋医学の「舌診(ぜっしん)」は、超高精度AIと数千万のデータによって、血液検査すら凌駕する最強の画像診断技術へと変貌を遂げた。
開発エンジニアのカイは、ある日、システムの「バグ」としか思えないデータに直面する。
最新の精密検査では「異常なし」の完璧な健康体。しかしAIの診断アルゴリズムは、その人物に「98%の死亡リスク」を突きつけたのだ。
その診断の主は、国を揺るがす重大な決断を控えた現職の大臣。
会社は「AIの誤作動」としてデータを握り潰そうとするが、カイは亡き祖父――かつて時代遅れと罵られた中医師――の遺した手記に、AIと同じ「死の予兆」の記述を見つけ出す。
科学が伝統を証明し、伝統が科学の盲点を突く。
国際会議の登壇まで、残り3時間。
カイは、目に見えない「死の風」から大臣を救い、システムの正しさを証明できるのか?
「舌は嘘をつけない。たとえ、本人が自分を欺いていても」
これは、古来の知恵と最先端技術が交差する地点で、命の真実を暴き出す近未来メディカル・サスペンス。