あらすじ
泰平の世の城下町の往来にて、すれ違う相手の顔に唾を吐きかける女が出没する。しかも被害者は男女問わず器量良しばかり。
それは単なる嫌がらせや愉快犯の類では済まされなかった。唾を吐きかけられた被害者は激痛に襲われ、そこには火傷のような痕が残ってしまったのだ。評判の器量を大きく損なわれてしまった彼らの悲痛たるやいかばかりか?
町医者の諒安(りょうあん)はお手伝いの粂(くめ)のサポートを得ながらこの城下町でほそぼそと医業を営む身。彼も唾吐き女の被害者を何度か診たこともあったが、どんな薬も痕を消すことはできず、症状も医学の常識を大きく逸脱しており治療の役に立つことはほとんどできずにいた。
ある日、そんな彼の元に友人の僧、徳生(とくしょう)が訪ねてきた。彼は城下町近くの村々で起こっている恐ろしい事件について話して聞かせ、状況を調べるため一緒に訪れないかと諒安を誘う。関心を抱いた彼は同意したのだが、そこで驚くべき状況に直面し…
平穏な社会のほころびから怪奇が現れ、牙を剥く! 伝記ホラー